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縮毛矯正技術マニュアル

理論

まず初めに縮毛矯正の反応を簡単に説明します。

髪の状態を例えると

海苔巻きによく例えられていて表面の海苔がキューティクルで、ご飯粒が髪の中に詰まってるケラチンタンパク質になります。

そしてクセ毛の髪は楕円形で、配列がいびつになっており、その為クセになっています。

またこの赤い線が側鎖と言い、SS結合の事をさします。

このSS結合でケラチン同士がくっついているので髪の毛の状態が保たれています。

そして縮毛矯正の場合、還元剤(1剤)という薬剤を塗布しSS結合を切る。

すると、ケラチンタンパク質は比較的自由に動くことができます。

その後アイロンなどの熱処理で形をつけます。

最後に酸化剤(2剤)でケラチンタンパク質をもう一度つなぎ合わせて完成です。

縮毛矯正を失敗しにくくする為には?

縮毛矯正で一番に失敗しやすいポイントは、還元をし過ぎる事(過還元という)です。

過還元、過軟化で髪が痛みすぎたりビビリ毛になったりする場合もあります。

逆に還元が甘くて癖が伸びない場合もあります。

縮毛矯正剤の1剤を基礎から知る

縮毛矯正の1剤は【還元剤】と【アルカリ剤】で出来ています。

たまに、還元剤の中に質感を良くする為さまざまなクリームが入っている薬剤もあり、クセの伸びが悪い場合もありますので気を付けましょう。

「アルカリ剤を一切使用してない!」などノンアルカリの縮毛矯正剤を宣伝してるメーカーさんもありますが、ほとんどの還元剤ってのは元々は強い酸性で、弱酸性の縮毛矯正剤の1剤でもアルカリ剤は必ず入っています。

還元剤の種類

種類は色々ありますがシステインやサルファイト、チオグリセリンなどは還元力が弱いのであくまで添加物程度の使われ方をする事もあります。

システアミンは髪の表面付近の還元だけになります。

その為、しっかりクセを伸ばす際はチオグリコール酸アンモニウムが主流となっています。

アルカリ剤とは?

例えばチオは本来、pH2 とかの強い酸性ですがよくあるパーマ液をpH9程度にしようとすると、かなり強いアルカリ剤を入れる必要性がある事をまず頭に入れておいてください。

アルカリ剤の種類

【アンモニア】

揮発性のため刺激臭はあるが毛髪へ残留が少ない。
反応は早いが、オーバータイムしにくい。手に対する刺激がある。

【モノエタノールアミン】

不揮発性のためニオイは少ないが、毛髪への残留が多い。
反応は遅いが、オーバータイムしやすい。手に対する刺激がある。

【炭酸水素アンモニウム】

弱アルカリ性のアルカリ剤。施術時間の経過とともに、
炭酸とアンモニアに分解され、アルカリ性になるため反応が強くなる。

【アルギニン】

塩基性アミノ酸のひとつで、毛髪との親和性が高い。
アルカリ剤の作用としては弱く、反応は穏やかである。

それぞれにメリット、デメリットはありますが、アルギニンはアルカリが弱すぎるのでトリートメントとかヘアケア剤に使われる程度。

炭酸水素アンモニウムはアルカリが弱いが反応計算がしにくい。

アンモニアも昔は主流でしたが揮発性で臭く、アルカリが弱まったりして少し扱いにくい。

その為、現在では残留しやすいとかオーバータイムしやすいなどのデメリットはありますが、安定して施術できるものエタノールアミンを採用している薬剤が多いです。

アルカリ剤は縮毛矯正の1剤でどういう働きをするのか?

アルカリ剤を1剤に配合し、アルカリ性にしていくことで還元剤の反応をしやすくします。

他にも浸透しやすくなるなどありますが主はこれです。

縮毛矯正でメインに使用される還元剤のチオはPH7の中性領域ではほとんど働かず、クセを伸ばす力もかなり少ない。

逆にPH9ぐらいになれば(アルカリ剤を加えて)還元作用をするのでSS結合を切断し。クセを伸ばすことが出来ます。

縮毛矯正の1剤で癖を伸ばす事が出来るのは、【還元剤】と【アルカリ剤】の2つがあるからです。

逆にヘアダメージやビビリ毛などのトラブルと、思ったほど癖が伸びていなかった場合のポイントも【還元剤】と【アルカリ剤】がかなり関係しています。

弱酸性縮毛矯正とアルカリ縮毛矯正の違いは?

スピエラやGMTでの弱酸性縮毛矯正は最初の頃、ハイダメージ毛やビビリ毛修繕などのアルカリ性の薬剤が使用できないようなケースのみに使用されていましたが、現在では普通毛のリタッチ部分でも使用するようになりました。

元来、普通毛やバージン毛などには癖を伸ばすほどのパワーがない弱酸性縮毛矯正ですが、水抜きアイロン技法の普及で普通毛でもそれなりにストレートになるようになったからです。

ですが、この頃から弱酸性縮毛矯正でビビリ毛になってしまうというトラブルも増えてきました。

弱酸性縮毛矯正がノンダメージっていうのは少し無理があります。

弱酸性縮毛矯正は1剤の還元力が弱いので長時間還元したり加温したり、またはアイロンでの熱処理も現在ではご法度とされてる水抜きアイロン、濡れたままアイロンなどという無理やりクセを伸ばすなどをしないといけなかったり・・・

弱酸性縮毛矯正は、薬剤パワーが弱いのでそれ以外の部分(アイロン処理など)で無理をしないと癖をストレートにすることが出来ません。

ただし、細毛、軟毛、猫っ毛、微シス毛やビビリ毛修繕、ハイトーン毛、既矯正部の修正などアルカリが使用できない場合とかでは有効な場合はよくあります。

普通毛のリタッチ部分などでダメージ軽減になると誤解し、無理をして弱酸性を使用するのは間違っています。

過還元による失敗

過還元はアルカリの暴走でおこります。

モノエタノールアミンの特性の中で注意する事は、反応は遅いがオーバータイムし易い点です。

反応の図

時間の経過により還元力が上がってきます。

よくある事例が、10分間でテストでまだ還元されていなかった時に、
※赤い点線を丁度良い還元とする。

還元が弱いからあと5分間放置タイムを追加しテストすると、

還元にはあとほんの少し欲しい状態に。

その為で5分間放置タイムを延長。

すると・・・

3分の経過を境に急に還元が進行するというパターン。

恐怖の過還元。

これをアルカリ暴走と呼ばれたりします。

チェック後もう少し還元して欲しい場合はシャンプー台に移動し細かくチェック、更に移動時間も計算して流すのが得策になります。

縮毛矯正での失敗を防ぐ還元コントロール

水抜きアイロンやウェットアイロンを推薦する場合は、弱酸性の薬剤とか中性〜弱いアルカリで還元剤を薄くした薬剤、または放置タイムを短時間などの工夫をし中間水洗までの還元力を弱くしている場合になります。

このような感じです。

物理作用(100度以上でのアイロン)をするとどんな還元が起こるか計算が出来ないにもかからわず、「弱いパワーの薬剤で短時間還元で綺麗に伸びます」と言いつつも、一歩間違えるとビビリ毛になってしまったり・・・

そんな再現性のない事はしてはいけません。

失敗の少ないストレートの方法は

中間水洗後の計算が出来ないウェットアイロンで高温還元をせず、水洗前に必要な分のみを還元し最低限の物理作用にするのが失敗しない縮毛矯正の極意になります。

縮毛矯正の基礎

一番最初に伝えたいのが、縮毛矯正に限らず基礎が大切だという事です。

モノ(最新の薬剤など)よりもコト(基礎の技術)が重要。

そんなわけで、最初は1剤の塗布になります。

色々なレシピがあったりしますが、まずは自分で薬剤の基礎を作る事です。

理由としては、人それぞれスライス幅や塗布量が変わってきてしまうからです。

塗布量によっても還元スピードが変わることを知ってください。

還元剤の種類やアルカリ度などの計算はこちらを理解してからになります。

わかりやすいのでパーマで還元度合いをみます。

約15分ほど放置して流ロッドに巻く

2〜3分置いてからオキシで酸化させて流してみました。

同じ還元剤、同じ放置時間で同じロッドで巻いても還元の状態が違います。

その為、まずは【自分自身の基準】を作る事です。

クセの伸びが悪い場合、塗布量やスライスを見直す事で改善する場合もあります。

新しい添加剤が入った薬剤で計算しにくい還元より、シンプルに考えて塗布量や塗布スピードなどを練習するのが一番の近道になります。

例えば、顔まわりの細い毛は塗布量を減らしたり、耳下の癖が伸びにくいとこは塗布量を増やしたり、塗布してて癖が強いい撥水毛の場合では塗布量を増やしたり、ダメージが部分的に多ければその場所の塗布量は加減して微調整。

また、全体の還元ムラを防ぐため塗布時間をできるだけ短くする。

薬剤の塗り分け

基本的にお客様が理美容室でケミカル施術をしている場合はこのように塗り分けます。

ホームカラーではこうダメージしてる場合が多いので気をつけましょう。

厳密に言うと前半と後半部でも塗り分けが難しく境目が特に大変になります。

なのでホームカラーを繰り返したりカラーモデルを繰り返している髪には完璧は絶対に不可能になります。

この境目の部分は薬剤の反応も悪くクセの伸びが悪かったり、逆にクセは伸びているがダメージが大きかったりします。

たまたま上手くいく場合もありますが自分の実力だとは過信せず、お客様にも「今回はたまたま上手くいっただけだ」と伝えるのがプロだと考えます。

ホームカラーのお客様には最初の説明で「ダメージは必須だけどしっかり伸ばすのか?」それとも「伸びが悪いかもしれませんが、ダメージを極力抑えて施術してゆく」などを細かく同意をして頂いてもいいと思います。

また、パーマや縮毛矯正をする人にはホームカラーを辞めていただく事を勧めていきましょう。

優しい美容師さんは、頑張って塗り分けやタイムコントロールで縮毛矯正をしてしまう。

それを数回繰り返すとお客様のマインドとしては、「全然できるじゃん。ホームカラー辞めなくて良くない!?」となります。

何度か繰り返し施術ていると、ある時少し失敗したりする時もあります。

その場合、お客様からすれば美容師の責任になってしまいます。

実際はホームカラーの繰り返しが原因だったりするのに、美容師の失敗の原因だと思い込まれます。

なのでホームカラーをしている髪に縮毛矯正をする事は大変で、最悪の場合はどんな髪になってしまうのかを伝え、納得していただく事が大切です。

縮毛矯正の薬は濡れてる時に働く

健康毛の縮毛矯正の際、アイロンの水分量は13〜15%ぐらいが基本になります。

ブローの際に乾燥する手前で形が付き始めるタイミング、これが水分量13%辺りになります。

この水分量ですと還元も進行しづらく危険性が少ないです。

イメージを伝えると

水分量13%ちょいぐらいまではほとんど還元はしないに近い状態。

水分量が15%を過ぎてから20%ぐらいまで還元は急激に強くなります。

タオルドライした状態(水分量25%程度)ぐらいから水分の飽和状態の35%ぐらいまでは、その薬剤のマックスの強さで還元を進行させる事が出来るとされています。

クリームやジェル系の縮毛矯正剤を髪に塗布すると、だいたいの髪の毛の水分量はタオルドライした程度ぐらいになり薬剤の水分だけでも十分に還元はします。

なので、縮毛矯正の基本はプレシャンプー後に1剤の塗布になります。

また、塗布後ラップをする前に乾燥しないよう霧吹きでしっかり水分を与える事が大切です。

縮毛矯正ブロッキング

縮毛矯正の1剤塗布はスピーディーかつ正確に塗布する事が失敗を防ぐコツになります。

基本

ワンタッチで塗れるようにあまり横幅を太くしないことがポイントです。

1剤塗布

一番やっていけない事は、根元にお薬を付ける事です。

頭皮の生えてる部分から5mm〜1cmはあける。

頭皮やその近くに還元剤がつくと根折れの原因になります。

頭皮近くに還元剤がついてそのまま寝かして放置すると根折れになります。

ステムの角度は頭皮に対して90度。

ダウンステムの場合、毛束の上から塗布すると下のあたりが根元付近まで薬剤がつく恐れがあります。

塗布量は常に考える必要がありリタッチはこのような感じです。

根元部分に薬剤が溜まらないようにし塗布量は少なめ。

リタッチ部分の境目、くせがある部分からオーバーラップする部分は塗布量も少なめに調整しましょう。

塗布の際、左手の人差し指と中指の間をワンタッチ目にする。

ワンタッチ目を頭皮側から塗布してはいけません。

そして、根元から2cmをあけ、ワンタッチ目にたっぷり塗り過ぎないように気を付けましょう。

ここからコーム部分を上手く利用する。

コームを毛束に対して90度ぐらいを目安にし薬剤を根元付近に伸ばしていくイメージです。

あまり根元ギリギリを狙わず最低でも5mm以上はあけて塗布です。

必要ならば薬剤を足し場所に応じて塗布量を加減。

ハケで薬剤を乗せてコームで塗布するイメージです。

スライスの幅は毛量や太さにより変わります。

それよりも裏側までしっかり塗布出来ているか?がポイントになります。

ワンパネルごとの塗布量を工夫し、出来るだけスピーディーにかつ根元には薬剤がつかないようにを心がけましょう。

大切な塗り収め方

全体の塗布後にもっとも注意するのがパネル同士の上下の重なりです。

上のパネルが覆いかぶさると

上のパネルの薬剤が下のパネルの根元につきやすく、根折れの危険性があります。

ペタッとと押さえつけず、ふんわりと重なるようにします。

頭のハチからトップに関しては結構根元に薬剤が付きやすいので気を付けましょう。

その後、全体に霧吹き等で水分を与える事で放置タイム中の乾燥を防ぎます。

乾燥してしまった部分は還元がストップしたり弱くなったりしてしまうからです。

そして、基本的には加温はしません。

熱が当たる表面部分が特に還元してしまい、他の部分とギャップが出るからです。

ラップの際も、ふんわり優しく包み込んでください。

縮毛矯正の1剤をシャンプー台で流す際は、必ずネープ部分から流しましょう。

塗布時には根元に還元剤がついていなくてもシャンプー台で流す際に、ネープ付近の毛髪がネープクッションに押さえつけられて還元剤がついた状態で顔まわりからすすいでしまっていると、ほんの短い時間でも髪質や還元剤の強さによっては還元が進行し根折れ毛になる危険性があります。

縮毛矯正で還元をチェック(確認)する方法

順番に説明すると次はアイロン処理についての説明になりますが、薬剤繋がりで酸化剤前のワンポイントアドバイスを挟みます。

よくある縮毛矯正の予想外として2剤を塗布したら根元〜中間の矯正部分がバックウェーブしている事がありませんか?

実はクセが伸びていなかったパターン。

もし怪しい場合は、確認する事をお勧めします。

こ別全員にしなくてもいいので癖の伸びが心配なお客様やクセが強いネープなど心配な部分だけで良いです。

やり方は縮毛矯正で1剤で還元→中間水洗してドライ→ストレートアイロンしてしっかりとストレート後→霧吹きで濡らす。

気になる部分を少し湿らせてモミモミしてみる。

心配ならそこそこ濡らしても大丈夫です。

ただし、しっかり濡らすとまた還元を始めるのでみんなウネウネしてきます。

癖が伸びてなかったらウネウネしてきます。

2剤を塗布する前にこいつでチェック。

もし癖がでてきた場合、ウネウネが弱い場合はもう1度乾かしてアイロンスルー、もしくはドライ後、アイロンスルーで「ジュッ!」と言わず、煙がモクモクでるギリギリでアイロンをする。

すごく癖が強く還元具合がかなりわからにくい場合は、中間水洗後に気になる部分をドライしアイロンしてもう一度濡らして確認します。

全然ダメならもう一度還元剤を塗布するのも一つの手になります。

縮毛矯正の場合、軟化チェックはわかるが還元具合は目に見えないからです。

 

アイロン技法について

還元した状態で水分と熱作用により髪の毛の形状変化を最大限にします。

乾燥しすぎた状態はNGですが、一般的にほぼ乾いた状態の髪に熱を与え、脱水とタンパク質の熱変性でクセ毛をストレートにするのがアイロン技法になります。

アイロンワークは基本的にワンスルー。

アイロンの温度は140〜160℃程度で比較的ゆっくりと行うのが基本になります。

温度が低めなのは、180とか200℃でスルーして髪の毛の温度が150℃になるのであれば、もともとのアイロン温度を150℃でゆっくりでも大丈夫です。

アイロンの温度が180℃でもスルーのスピードによって髪の毛の温度は変わるという事です。

※180℃が悪いってわけではありません。

検証

同じ還元剤で5分タイム後に水洗しドライしました。

左半分は140度アイロンでゆっくりと1スルー。

右はある程度ドライしてから180度アイロンを素早く2スルー。

酸化処理して自然乾燥

140度で1スルーの方が伸びてます。

140℃のアイロンは1秒で5mm程度進むスルースピード

180℃のアイロンは1秒で10cm程度進むスルースピード

結果、温度が低くてもワンスルーで伸びるという事とアイロンの温度はスルースピードで変わってしまうという事です。

すなわち、アイロンの設定温度ではなく髪の毛の温度が大切という事です。

更に、お客様の髪質やクセの具合でスルースピードとプレスする圧を考えてアイロン温度を決めましょう。

今でもデンマンやスケルトンとかでブローしてアイロンした方が良いと思い込んでる美容師さんがいます。

アイロンの前に下手にブロードライしちゃったら乾燥しすぎてクセが伸びにくい事はありませんか??

水分量を考える

必要なだけ水分を残してブローをする。

髪の毛の水分量は普通に乾いた状態で11〜13%程度がベストだと言われていますが、縮毛矯正のアイロン前の場合は水分量がそれよりも少し潤いのある13〜15%程度が最適なイメージです。

ですがこの時に、癖が伸びてしまうほどデンマンブラシやツインブラシなどで強くブロードライなどをすると、水分量が10%を下回るほどに乾燥したりします。

ざっくりな水分量と加温温度の関係性

では、検証していきます。

強めの還元剤で放置タイムは15分後中間水洗し。

右半分はデンマンブラシでしっかりとブロードライ

左側は感覚で水分量15%程度にし、140℃のアイロンでゆっくりとワンスルー。

ブローした部分も同じく140℃のアイロンで通常のスピード3スルー。

結果

水分量が適切なら140℃のアイロンスルーでも確実に癖が伸び、しかもあまり髪の毛の硬化がありませんでした。

アイロンプレスとテンション

アイロンプレスはアイロンで挟んだ時にプレスする圧力のこと。

意味合いとしては、髪の毛の中まで加温する。

あまり強くしすぎると当然ダメージにつながりますが、太い髪や多毛の場合はある程度プレスしないと中までしっかり熱が伝わりません。

このプレスは癖を伸ばす為のモノではなく基本的には中まで加温するという意味合いの方が強いのを頭に入れておいてください。

アイロンでのテンション

これは、アイロンで挟んで髪の毛を引っ張る力。

あまり強くテンションかけてアイロンするとひどくダメージしたり、お客様が痛い思いをするので注意した方が良いです。

確かにテンションは大切ですがアイロン時に引っ張ってもクセが伸びる理屈がなかったりします。

ですが、縮毛矯正でアイロンする前には髪の毛をストレートに整えないといけません。

アイロン前がこんな状態ではうまくアイロンが入れれないので、左手でストレートになる最低限のテンションを加え綺麗に整える。

アイロンをかける手よりもパネルを持つ手のほうが重要です。

アイロンではテンションをかけずパネルを持つ手で髪をしっかりと真っ直ぐにし、140度以上の温度でゆっくりスルーかクセが強い場合は軽くプレスをしながら髪の毛に熱を置いていくイメージです。

縮毛矯正の中で、アイロンでの過度なプレスやテンションはトラブルの元になりやすいので気つけましょう。

パネル幅について

スライスの厚さは気にしがちですが、幅も大切になります。

スライスの厚さは毛量や髪の太さなんかで臨機応変にしましょう。

パネル幅は常に一定にを保ってください。

ストレートアイロンの横幅の8割ぐらいが目安になります。

理由としてはアイロンの両端の部分は温度が低くなり易いところからきています。

もちろんステムの角度は頭皮に対して90度。

これは、折れ毛などを防ぐためでもあります。

つむじの毛流れを無理して変えるのはお勧めしません。

ボリュームや自然な感じを考えてアイロンを入れましょう。

薬剤塗布も同じで自然な感じを考えて根元から1㎝以上は空けて塗布する。

そうすれば、アイロンを入れる際にも気にしなくてよくもなります。

熱処理について

縮毛矯正(ストレートパーマ)の施術工程は、

1剤で還元(薬剤パワー)→水洗→ブローもしくはストレートアイロン処理(物理的パワー)→2剤で酸化処理。

ブローかアイロンでの処理かは、物理的なパワーの問題になります。

この2つの大きな違いは温度の差です。

一般的にブローで加温する場合は70度~90度程度になり、アイロンの場合は140度~180度程度になります。

この温度の差は、髪にとってかなり影響を与えます。

髪の毛は乾熱で約130℃以上になるとタンパク質の熱変性が起きるといわれています。

なのでブローでの縮毛矯正の場合は物理的なパワーがアイロンよりも劣りますので薬剤パワーを強くしないといけませんが、高温ではありませんので熱によるダメージは少ないと考えられます。

逆にアイロンで130度以上の場合は物理的なパワーはブローに比べて強いので薬剤パワーを弱くすることが可能です。

結果、還元剤がどうとかブローがいいやアイロンの方が良いとかではなく、薬剤のパワーと物理的パワーとのバランスを大切にすることが重要になります。

薬剤選びや軟化チェックなどの還元に自信がない方の場合は、アイロンでしっかりクセを伸ばしてあげる方が失敗は少ないと考えます。